AECでタイはさらに発展する!?
AECとは
2015年末にASEAN加盟10ケ国によりAEC(ASEAN経済共同体)が発足しました。
AECは「ASEAN ECONOMIC COMUNITY」の頭文字で、ASEANからさらに踏み込んで協力していこうというものです。
AECは下記の4つを戦略目標として掲げています。
・単一市場、生産拠点
・競争力のある経済地域
・公平な経済発展
・グローバル経済への統合
加盟国間で貿易自由化、市場統合等のヒト・モノ・カネの自由化により世界的な経済市場を構築しようとしているもので、簡単に言えばEUの東南アジア版ですが、完全なるヒトの往来自由、共通通貨は目指されていません。
EUでヒトの往来を自由にしたら難民がたくさん押し寄せるとか、各国の財政事情が異なる中での共通通貨はがんじがらめに陥る状況がありましたからね。
現在のところ、ヒトについては、短期滞在ビザが撤廃され、将来的には熟練労働者の移動を自由化する方針です。また、関税はすでに9割超の品目でゼロとなっており、モノの自由化はすでに達成しつつあります。
AECの実力と可能性
ASEANの人口は6.2億人を誇ります。
中国(13.7億人)、インド(13.2億人)には劣りますが、NAFTA(北米自由貿易協定)やEUを上回る規模です。
しかも、2050年時点では中国の高齢化が顕著になると予想されていますが、ASEANは釣鐘状の人口分布を維持すると見込まれています。
日本のように成熟し発展余地が少ない上に人口減少社会に突入している国に較べて、AECは現在すでにビッグマーケットであり、潜在的成長性も高いと言えます。
AECにおけるタイ
ASEAN加盟10ケ国の中でも特に陸続きのタイ、マレーシア、シンガポールが特にAECの恩恵を受けると言われています。
中でも位置的に中心にあり、将来の中国、インドとの連結を考えるとタイの優位は明らかです。
また、タイはすでに工業化を成し遂げ、むしろ、労働者が不足している状況です。賃金目線の低い隣国の労働者の確保がより容易になれば経済発展に弾みがつきます。
とはいえ、まだ始まったばかりのAEC
ただし、現時点ではAECはまだまだこれからといった感を否めません。
AECによる受ける恩恵に差があったり、各国個別の事情により、実際に詳細を煮詰めていく中で加盟国間で足並みが揃わず有名無実化していく可能性もない訳ではありません。
また、AECによりタイがさらに発展したとしても、タイにロングステイしている人がその恩恵を受けることができるかは全く別の問題です。
確かにグローバル化してインフラが充実したり利便性は上がるかもしれませんが、物価がさらに上がり、年金生活者には厳しい状況になるかもしれません。
世界のマーケットに与える影響や、個々人の関わり方について見極める上では、今後の動向に要注目です。