私って何人? 海外移住時に気になる国籍
海外移住について考えると、その国でずっと暮らしている時よりもかえって国籍を意識することが多くなります。
そもそも、国籍とは
国籍は人が特定の国の構成員であるための資格です。
国籍という概念はどこの国にもあり、その国で国籍を有すると、原則、参政権や公務就任権、土地の所有、パスポートの取得といったフルサイズの権利を得ることができます。
海外移住的に言えば、国籍を有しているとその国に手続き不要で無期限で滞在でき、入国拒否されることがありません。
国籍の取得・喪失
国籍の取得は基本的には出生によります。
両親の国籍を重視する血統主義と生誕国を重視する出生地主義のどちらを原則とするかは国によって異なりますが、ほとんどの国では二つを併用して無国籍防止や人権保護を図っています。
出生以外では、別の国籍の者がその国で国籍を取得することを帰化といいます。
帰化の条件は国によって異なりますが、基本的にはハードル高めです。
日本の場合だと
・正当な在留資格を有した上で引き続き5年以上日本に住んでいる
・年齢20歳以上
・犯罪歴や納税状況等から素行が善良である
・世帯を維持していける十分な資産や技能を有する
・日本語の語学力がある
ことが前提で
帰化申請にたくさんの書類を提出し、長時間(1年程度)に渡る審査を得て、最終的には行政機関の裁量によります。
逆に国籍を離脱するには、外国籍に帰化する必要があります。
日本の場合、外国籍を取得すると自動的に日本国籍を喪失するとありますが、国籍離脱の届出というのもあります。
離脱の費用は掛かりませんが、米国では結構な額の手数料が掛かるそうです。
現代社会における国籍の在り方は
国家にとって国民は国土とともに国家の成立要件を為す根幹部分なので、一旦、取得した国籍はそう簡単には動かせませんし、軽く捉えてもらっては困るものです。(国によって国籍に関する法律が異なるので国によってはそうじゃないところもあるかもしれませんが)
また、相続税の課税を逃れるために税テクとして外国籍になる人もいるので、国籍の変更が容易だと抜け道になることもあります。
ただし、近年はグローバル化で国家を超えて活動する企業、個人が増加し、移動も手軽になってきていますし、インターネットで世界中の情報が入手できるので思想や文化は同一国内でも多様化し、国際結婚も増えています。
そういった社会情勢の中、従来の国家、国籍という枠組みが時代にそぐわず、想定外のケースが出てきています。
確かに自国民を保護したり、国民の権利が濫用されないよう予防措置を講じることは必要であり、かつ、自国の歴史的経緯を踏まえ、心のよりどころとなるルーツを持つことは個人が生きていく上で重要なことだと思いますが、それらを巡る状況が常に変化し、その変化が加速している状況を踏まえ、そろそろ国籍について再検討が必要な時期と思えてなりません。