手っ取り早く海外居住者になるにはタイランドエリートが最強なワケ
「とにかくすぐにビザがほしい!」
と仰る方ってなぜか結構います。理由は伺いませんのでわかりませんが、それぞれにご事情があるのでしょう。
中には
「他にもいい方法ないですか?」
と聞いてくる方がいます。
他にってことはタイランドエリート以外でタイに滞在する方法かと思いきやそうではないんです。
彼らが求めているのは、タイ以外の国でも手っ取り早く移住する方法を知りたがっているのです。
首を傾げたくなるのですが、世の中にはそういうニーズもあるということで各国の制度をまとめてみました。
※各制度は2018年9月時点での内容となります。
<先進国>
アメリカ EB-5
世界経済をリードし続ける超大国アメリカ。
年1回の抽選で完全に運次第の公募永住権が有名ですが、投資・起業プログラムのEB-5という制度もあります。
条件は
・政府指定の投資案件に100万米ドル(約1億1千万円)以上投資して、米国人を10人以上雇用する
・特定地域の政府指定の投資案件に50万米ドル(約5.5千万円)以上投資して、米国人を10人以上雇用する
なお、上記に加えて、資金が合法的に得られたものであること、無犯罪であること、健康であることの証明が必要です。
永住権が取得できますが、弁護士と一緒に投資先プロジェクトを選定して、書類審査、領事面接等々、取得まで2~3年掛かるそうです。アメリカでビジネスをする!っという強い志が試されます。
やはり移住は人生掛けた一大決心が必要と最初っからテンション下がるかもです…。
カナダ The Quebec Immigrant Investor Program
募集を停止していたケベック州の投資家ビザが期間限定で再開するようです。
条件は
・200万カナダドル(約1億7千万円)の資産
・120万カナダドル(約1億円)を州政府指定の投資を行う
・2年以上の経営者・マネジメント歴
・ケベック州への定住意思
期間限定の再開の上に、申請が上限に達した時点で募集が打ち切りとなります。
申請から2~3年程度の期間が必要とのことです。
人気で(特に中国から)打ち切りになっていたのですが、決してお気軽な制度ではありません。
オーストラリア investor stream
広大な自然、どことなくのんびりした雰囲気、それでいて整った環境、やはりオーストラリアは憧れの国です。
投資家向けのプログラムが3種類あります。
①Investor stream
150万豪ドル(約1億2千万円)の投資。
②Significant Investor stream
500万豪ドル(約4億円)の投資。
③Premium Investor stream
1500万豪ドル(約12億円)の投資。
金額以外にも投資は4年行うとか、イノベーションと投資ポイントが何点以上だの色々と条件が付きます。
憧れ実現には中々高いハードルです。
<ヨーロッパ>
ビザ取得のハードルが高い国が多いですが、比較的条件が厳しくない国をご紹介します。
スペイン Golden Visa
風光明媚で温暖な気候のスペイン。
2013年から投資家・起業家向けのGolden Visaという制度が開始されました。
①投資家ビザ
・200万ユーロ(約2億6千万円)以上のスペイン国債購入、100万ユーロ(約1億3千万円)以上のスペイン企業の株式購入、もしくは100万ユーロ(約1億3千万円)以上のスペインの金融機関への預金
・50万ユーロ(約6500万円)以上の不動産を購入し・維持すること
・スペインに貢献する有益な事業計画
申請には無犯罪証明書、健康診断書等以外に、すでに上記条件に適した投資をしているという事実を証明する書類が必要です。
②起業家ビザ
・スペイン経済に利益をもたらす事業を起こすこと
・スペイン人の雇用機会増やす為に、現地雇用を生み出すこと
申請には事業の企業化計画書が必要です。
ビザの期間としては投資家、起業家いずれも最初は1年、初回の更新後は2年毎に更新です。
ただし、制度が新しく、ほとんど情報が開示されていないので手続きの際にはよくよく確認する必要があります。
ポルトガル Golden Visa
スペイン同様に歴史のある温暖な憧れの国ポルトガル。
スペインと同じ名称のGolden Visaがあります。
条件は
・100万ユーロ(約1億3千万円)以上の資金のポルトガルへ移動(株式投資または共同出資会社への資金参加を含む)
・50万ユーロ(約6500万円)以上の不動産購入
・10人以上の雇用機会の創出
上記の条件のいずれかを満たした上で、下記のどちらも満たす必要があります。
・「投資活動用在留許可」の承認日から数えて最低でも5年間投資を継続すること。
・初年度は7日以上ポルトガルに滞在(連続でなくても可)、2年目以降は2年間で合計14日以上滞在(連続でなくても可)
申請にはパスポートに無犯罪証明書、無債務表明書といったものが必要になります。
ビザ申請以前に資金を移動しておいたり、すでに雇用していたりする必要があるので、これまでポルトガルにほとんど関わっていなかった人が利用するような制度ではないですよね。
マルタ MRVA
地中海の島国マルタ共和国。
投資永住権ビザMRVA(Malta Residency and Visa Programme)という制度があります。
まずは下記条件をすべて満たす必要があります。
・18歳以上であること
・国外で年間10万ユーロ(約1300万円)の収入、又は50万ユーロ(約6500万円)以上の資産
・家族を扶養するための安定した十分な資産を保有
・有効なパスポートを保持
・マルタ共和国において有効な保険証を所持
・犯罪歴がないこと、10年以内に6カ月以上滞在歴があること
・申請者と家族が健康であること
・申請費用として5500ユーロ(約70万円)を支払う
その上で、居住証明発行から5年間は以下のいずれかを行います。
(1)不動産の購入
マルタ南部、ゴゾ島であれば27万ユーロ(約3500万円)以上のもの
それ以外であれば、32万ユーロ(約4130万円)以上のもの
(2)不動産の賃貸
マルタ南部、ゴゾ島であれば年間1万ユーロ(約130万円)以上のもの
それ以外であれば、年間1万2千ユーロ(約155万円)以上のもの
(3)資産の保有
居住証明発行から5年間は25万ユーロ(約3230万円)以上
なお、開始時は2万4千ユーロ(約310万円)を寄付(申請者追加の場合は1名につき5千ユーロ(約65万円))し、毎年、カード発行手数料として27.50ユーロ(約3500円)が掛かります。
少しはハードル下がって来ましたかね?
<東南アジア>
東南アジアの新興国はよりハードルが下がってきます。
マレーシア MM2H
マレーシアは高い経済成長を誇りますが、まだまだ物価が比較的安く、海外移住先人気ランキングでは常に上位です。
マレーシアの長期滞在ビザといえばMM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)です。10年のマルチプルエントリービザを受けられます。
条件は
・保有資産が50歳未満は50万リンギット(約1350万円)以上、50歳以上は35万リンギット(約950万円)以上
・マレーシアで定期預金を50歳未満は30万リンギット(約820万円)以上、50歳以上は15万リンギット(約410万円)以上
・月々の収入1万リンギット(約7万円)以上
・申請理由や経歴書を文章で提出
・無犯罪証明書、財務に関する書類を提出
・健康に問題がない
それなりの資産は必要ですが預金はプログラム終了時に解約できます。
書類提出後に審査があり、3~4ヶ月で仮承認となり、それから6ヶ月以内にマレーシアにて手続きを行い正式承認となります。
フィリピン SRRV
一時はアジアの病人とまで言われ海外出稼ぎ大国だったフィリピンですが、国民の平均年齢の低さと人口増加、英語が通じることから現在では経済が赤丸急上昇中です。
フィリピンにはSRRVという特別居住退職者ビザがあります。
②SRRV SMILE
・預託金2万米ドル(約230万円)【35歳以上】
※預託金は投資に転用不可
①SRRV ClASSIC
・預託金5万米ドル(約560万円)【50歳未満】
・預託金2万米ドル(約230万円)【50歳以上】
・預託金1万米ドル(約120万円)【50歳以上の年金受給者】
※預託金は投資に転用可能
③SRRV HUMAN TOUCH
1万米ドル(約120万円)かつ月額1500米ドル(約17万円)以上の年金受給があり、既往症がありその療養を目的とする者【35歳以上】
※預託金は投資に転用不可
書類は犯罪経歴証明書、戸籍謄本程度ですが、事前に日本から海外送金した上で、フィリピンにて健康診断と面談があります。ビザが発行されるまでの約2ヶ月間はパスポートを提出するのでそのままフィリピンに滞在することになります。
申請料は1400米ドル(本人)、300米ドル(同伴者)で、別途年会費として360米ドル(約4万円)掛かります。
シンガポール GIP
治安がいいが、物価も高いシンガポール。また、タックスヘイブンとしても知られているので、法人を設立して、ついでに住んじゃえばとも思うのですが、Global Investment Program(略称GIP)は世界の中でも取得難度が高いことで知られています。
GIPは2種類あり
①最低250万SGD(約2億円)で新規事業を立上げるか既存事業の拡大に投資
②最低250万SGD(約2億円)を政府承認のシンガポールのベンチャーキャピタルファンド又はシンガポールにベースをおく経済開発を目的とする財団や信託に投資
①、②いずれにしても
・最低3年以上の起業の実績があり、直近3会計年度の会社の監査済決算書を提出すること
・会社の売上高は、直前の会計年度について年間5000万SGD(約40億円)以上であり、かつ直近3会計年度について年間平均5000万SGD(約40億円)以上であること
・30%以上の会社の株を保有していること
一応、永住権と謳われていますが、5年毎に更新があり、更新にも条件があります。
そういえば、ソフトバンクの孫さんの弟の孫泰蔵さんが数年前に取得して話題になりました。お兄さんほどではないにしても起業家として知られています。それくらいのレベルの人が取得できるものと思うとその難度がわかりやすいでしょうか。
マレーシア、フィリピンと条件が低めでしたが、東南アジアすべてがウェルカムって訳ではないんですね。
タイ Thailand Elite
タイには移住・長期滞在プログラムのタイランドエリートがあります。
タイランドエリートは期間が5年〜20年の会員となるという形式で、会員期間に応じてマルチプルエントリービザが発給されます。
条件は
ほとんどなし。
もちろん必要書類を用意して申し込んでもらう必要はありますが、添付するのはパスポートのコピーと顔写真だけ(ご家族で申し込む場合は戸籍謄本も必要)です。
一応、入会審査はありますが、他国のように様々な角度からその人の善し悪しを判断するような審査ではなく、言ってしまえば形式的なもので、特に日本人であればよっぽどのことがない限り落ちません。
取得までの期間は
申し込みから入会審査結果まで約2週間、入会金を支払ってビザの発給まで1ヶ月弱です。
費用は
50万バーツ(約170万円)〜
こちらは資産残高があることではなく、実際にその額を入会金として支払ってメンバーになります。
途中でタイに住まなくなったとしても入会金は返金されませんが、考えようによってはお金で簡単、確実に移住できる権利を買う制度と言ってもいいでしょう。
なお、タイランドエリートは単にビザだけの制度ではなくそれ以外の特典もあります。その中でも特筆すべきは個人の銀行口座の開設です。
手っ取り早く海外居住者になりたいと言う方から同時に「海外の預金口座ってどうやって作るの」って質問されることが多いのですが、タイランドエリートなら会員特典として口座が作れます(バンコクバンク&カシコンバンク)。マルチカレンシー対応でもちろんネットバンク対応。おまけにその口座で引き落としができるクレジットカードも持てます。
まとめ
国・プログラム名 | 条件(抜粋) |
---|---|
アメリカ EB-5 |
政府指定投資案件に1億1000万円の投資(特定地域なら5500万円) 米国人10人以上雇用 |
カナダ(ケベック州) The Quebec Immigrant Investor Program |
1億7000万円の資産 1億円の投資 2年の経営歴 |
オーストラリア Investor Stream |
1億2000万円の投資 投資ポイントテスト合格 3年の経営歴 |
スペイン Golden Visa |
2億6000万円の国債購入、1億3000万円の株・預金 6500万円の不動産購入 事業計画提出 |
ポルトガル Golden Visa |
1億3000万円の預金、6500万円の不動産購入、10人以上の雇用 5年間の継続 |
マルタ MRVA |
1300万円の収入もしくは6500万円の資産 70万円支払い 3500万円の不動産購入・年間130万円の賃貸、3230万円の資産保有 |
マレーシア MM2H |
1350万円の資産(50歳未満) 820万円の定期預金(50歳未満) 月の収入7万円 |
フィリピン SRRV |
230万円を預託(SRRV SMILE) 560万円を預託(SRRV CLASSIC) 面接 |
シンガポール GIP |
2億円の新規事業か投資 3年の経営歴 40億円の売上 |
タイ Thailand Elite |
170万円以上(会員種別による)を支払って会員になる |
手っ取り早いのは、やはりタイランドエリート
マレーシアやフィリピンも良い制度ですが、書類の準備を含めた手間や費用、取得の確実性でみるとタイランドエリートが一番楽ちんです。玉虫色の承認要件が多い各国の長期滞在ビザ制度のうち、唯一無二の会員制です。
今後、各国の外国人居住制度がどうなるかは不透明…
各国様々な制度がありますが、移住を受け入れる国からすると、外国人の資産家を受け入れると徴税や消費、雇用等にメリットがありますが、先進国のような成熟社会だと既得権益や反対派といったしがらみが多く、なかなかスピーディーで効果的な外国人受け入れ制度を創設しにくいようです。
一方、新興国はしがらみが少なく利用しやすい長期滞在制度を採用しているケースが多いです。新興国の売りは旺盛な経済成長ですが、世界的な節税スキームの一環で利用している人も多いようです。
ただし、マネーロンダリングにテロや脱税を幇助していると先進国から圧力がかかってきている状況もあり、今後の制度の変遷はなかなか予見が難しいところです。
現在のところ比較的低い条件で外国人を受け入れている新興国等が条件を厳密化してくることは十分あり得ることですし、自国の利益を最優先する風潮が強まっているので、人権擁護の建前はあっても、資産家ではない外国人を積極的に受け入れようとする国は尚更ないでしょう。
いずれにせよ移住をご検討の方は早めに動かれた方がいいのかもしれません。